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WSUSからIntuneへの移行、何から始めればいいか分からない人向けのロードマップ

※本記事は2026年3月時点の一般的なガイドです。実際の移行作業は貴社環境で検証を行い、Microsoft公式ドキュメントを確認の上、自己責任で実施してください。

「WSUSからIntuneに移行しなきゃいけないらしいけど、何から始めればいいんだ?」

2023年のWSUS非推奨アナウンス以降、多くのIT管理者がこの悩みを抱えている。

私自身、WSUSを10年以上運用してきた。Intune移行の第一歩がわからない気持ちは痛いほど理解できる。調べれば調べるほど、「Azure ADって何?」「ハイブリッド参加って?」と専門用語に頭が混乱する。

この記事では、「何から手をつければいいか全くわからない」という人向けに、ステップバイステップのロードマップを示す。

関連記事: WSUS→Intune移行の実務ガイドでは、具体的な移行手順を詳しく解説している。

まず落ち着いて現状を把握する

Intune移行を焦る必要はない。

Microsoftの公式発表では、「WSUSは非推奨だが、製品ライフサイクルに従ってサポートは継続される」とされている。つまり、明日いきなり使えなくなるわけではない。

ただし、将来的には移行が必要になる。だからこそ、今のうちに計画的に準備を進めることが重要だ。

ステップ0: 移行前の現状把握(所要時間1週間)

まず、以下を確認する。いきなり移行作業に入るのではなく、現状を正確に把握することから始めよう。

確認すべき5つの項目

1. 管理対象端末数

何台のPCを管理しているか。50台以下なら比較的簡単だが、300台以上だと段階的な移行計画が必須になる。

2. OSバージョンの分布

Windows 10の各バージョン、Windows 11の分布はどうなっているか。古いバージョンが混在していると、移行の難易度が上がる。

3. 現在の更新承認ポリシー

品質更新は何日延期しているか。機能更新は手動承認か。このポリシーをIntuneでも再現する必要がある。

4. コンピューターグループ構成

部門別、拠点別、テスト/本番など、どういう単位でグループ分けしているか。IntuneではAzure ADグループで再作成することになる。

5. ライセンス状況

現在のMicrosoft 365ライセンスは何か。既にE3やBusiness Premiumを契約していれば、追加コストなしでIntuneが使える可能性がある。

棚卸しの具体的な方法

WSUSサーバーで以下のPowerShellコマンドを実行すると、管理対象端末の情報を取得できる。

# WSUS管理対象のコンピューター数を取得
$wsus = Get-WsusServer
$wsus.GetComputerTargets().Count

# OSバージョン別の分布を確認
$wsus.GetComputerTargets() | Group-Object -Property OSDescription | Select-Object Name, Count

※上記コマンドは環境によって動作が異なる場合があります。実行前に検証環境でテストしてください。

ステップ1: Intuneの前提条件を確認する(所要時間2〜3日)

ライセンスの確認

Intuneを利用するには、以下のいずれかのライセンスが必要だ。

  • Microsoft 365 E3/E5
  • Microsoft 365 Business Premium
  • Enterprise Mobility + Security (EMS) E3/E5
  • Microsoft Intune単体ライセンス

注意点として、Microsoft 365 Business Standardには含まれない。

現在のライセンスでIntuneが使えるか、Microsoft 365管理センターで確認しよう。もし既にE3やBusiness Premiumを契約していれば、追加費用なしで移行できる。

Azure ADの準備

Intuneはクラウドサービスのため、Azure AD(最近はMicrosoft Entra IDと呼ばれる)へのデバイス登録が必須だ。

オンプレミスActive Directoryを使っている場合、以下のいずれかが必要になる。

  • Azure AD Join: 完全にクラウドに移行
  • Hybrid Azure AD Join: オンプレミスADとクラウドを併用(推奨)

既存のオンプレミスADがある企業は、Hybrid Azure AD Joinが現実的だ。既存のADをそのまま使いながら、Intuneを導入できる。

詳細はオンプレActive Directoryが残っている環境でIntuneを使う方法を参照してほしい。

ステップ2: テスト環境の構築(所要時間1〜2週間)

いきなり本番環境で試すのは危険だ。まず、3〜5台のテスト端末でIntuneを試してみる。

テスト端末の選定基準

  • 業務に影響の少ない端末(IT部門の端末など)
  • 異なるOSバージョン(Windows 10 22H2、Windows 11 23H2など)
  • 異なる部門や用途(営業、開発、事務など)

「うちのIT部門の端末で試してみよう」というのが最も安全だ。トラブルが起きても、自分たちで対処できる。

テストで確認すべき5つのポイント

  1. Azure ADへのデバイス登録が正常に動作するか
  2. Intuneへの自動登録が機能するか
  3. Windows Updateが正常に配信されるか
  4. 既存の業務アプリが問題なく動作するか
  5. ユーザーに影響がないか

テスト期間は最低2週間。できれば1ヶ月確保したい。パッチチューズデー(月次のセキュリティ更新)を1回経験できれば、より安心だ。

ステップ3: 移行計画の策定(所要時間1週間)

テストが成功したら、本番移行の計画を立てる。

推奨される移行スケジュール

フェーズ 対象 期間
フェーズ1 テストグループ(10〜20台) 1ヶ月
フェーズ2 部門A(100台) 2週間
フェーズ3 部門B(100台) 2週間
フェーズ4 全社展開(残り全て) 1ヶ月
並行運用期間 WSUS+Intune併用 1ヶ月
WSUS廃止 サーバー停止

合計所要期間は約4〜5ヶ月。焦らず、確実に進めることが成功のカギだ。

並行運用期間については、WSUSとIntuneの併用期間はどのくらい必要かで詳しく解説している。

移行計画書に含めるべき項目

  • 移行の目的と背景
  • 対象範囲(端末数、ユーザー数)
  • 移行スケジュール
  • リスクと対策
  • ロールバック手順
  • 必要な予算(ライセンス、作業工数)
  • 体制(責任者、担当者)

上司への提案方法については、上司にIntune移行を提案するときの説明資料の作り方が参考になる。

ステップ4: 部門別の段階的移行(所要時間2〜3ヶ月)

一度に全端末を移行するのではなく、部門ごとに段階的に進める。

移行順序の推奨

  1. IT部門: トラブル対応がしやすい
  2. 営業部門: 外出が多く、クラウド管理のメリットが大きい
  3. 管理部門: 業務が比較的安定している
  4. 開発部門: 特殊な環境が多いため最後

各部門の移行後、1〜2週間の安定稼働を確認してから次に進む。「問題なさそうだから次の部門も」と焦らないことが重要だ。

ステップ5: 並行運用とWSUS廃止(所要時間1〜2ヶ月)

全端末がIntuneに移行したら、WSUS+Intuneの並行運用期間を設ける。

この期間に、以下を確認する。

  • すべての端末で更新プログラムが正常に配信されているか
  • ユーザーから問い合わせが増えていないか
  • セキュリティ更新が適切に適用されているか

問題なければ、WSUSサーバーを停止する。ただし、すぐに削除せず、1〜2ヶ月はバックアップとして残しておくことを推奨する。

万が一、Intuneで問題が発生したとき、WSUSに戻せる状態にしておくと安心だ。

ロードマップ全体のタイムライン

ステップ 内容 所要時間
ステップ0 現状把握 1週間
ステップ1 前提条件確認 2〜3日
ステップ2 テスト環境構築 1〜2週間
ステップ3 移行計画策定 1週間
ステップ4 段階的移行 2〜3ヶ月
ステップ5 並行運用・WSUS廃止 1〜2ヶ月

合計で約5〜7ヶ月。長く感じるかもしれないが、焦って失敗するより、確実に進めた方がいい。

よくある質問

もっと早く移行できないか?

技術的には可能だが、リスクが高い。特に100台以上の環境では、段階的移行を強く推奨する。

途中でトラブルが発生したらどうするか?

各フェーズでロールバック手順を用意しておく。Intune移行前にWSUS設定を削除しない限り、元に戻すことは可能だ。

詳しくはWSUS→Intune移行の実務ガイドのトラブルシューティングセクションを参照してほしい。

外部ベンダーに頼むべきか?

社内のリソースが不足している場合は、検討の価値がある。ただし、移行後の運用は自社で行う必要があるため、ノウハウは社内に残すべきだ。

費用感については、Intune移行にかかる費用と工数の現実で詳しく解説している。

焦らず、段階的に進めることが成功のカギ

WSUS→Intune移行は、決して一朝一夕には完了しない。

重要なのは、焦らず、段階的に、確実に進めること。このロードマップを参考に、自社の環境に合わせた移行計画を立ててみてほしい。

「何から始めればいいかわからない」という状態から、「次に何をすべきか明確」な状態になれば、移行はもう半分成功したようなものだ。

※免責事項: 本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、特定の環境における動作を保証するものではありません。実際の移行作業は、必ず貴社環境で検証を行い、Microsoft公式ドキュメントを確認の上、自己責任で実施してください。

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