【この記事で分かること】
読了時間:約7分
「WSUS からIntuneに移行したい」
そう思っても、上司に提案して承認を得るのは簡単ではない。
実は私も、初めてIntune移行を提案したときは失敗している。当時の私は「クラウドが主流だから」「Microsoftが推奨しているから」という理由で提案資料を作り、自信満々で上司にプレゼンした。
結果は却下。
上司からの質問は矢継ぎ早だった。
これらの質問に、私は明確に答えられなかった。
その後、提案資料を根本から作り直し、2ヶ月後に再提案した。今度は一発で承認を得られた。
本記事では、私の失敗経験を踏まえて、Intune移行の提案資料の作り方と、上司を納得させるための具体的なポイントを解説する。
初回の提案で最も痛かったのは、「なぜ今、移行する必要があるのか」を説明できなかったことだ。
「クラウドが主流だから」「Microsoftが推奨しているから」という理由では、上司は納得しない。「今のWSUSで問題ないじゃん」で終わってしまう。
再提案では、現状の課題を数字で示した。
こうした具体的な課題と数字を示すことで、「移行する必要性」が伝わった。
初回の提案で、私は「Intuneの利用にはMicrosoft 365 Business PremiumまたはEMSのライセンスが必要です」とだけ書いていた。
上司は「追加費用がかかるのか」と誤解し、そこで話が止まってしまった。
実際には、当社はすでにMicrosoft 365 Business Premiumを全社員分契約していたため、追加費用は不要だった。
再提案では、この点を明確にした。
【費用】
さらに、WSUSサーバーの運用コスト(サーバーの電気代、管理者の工数)と比較して、年間54万円のコスト削減になることを数字で示した。
これで上司は「追加費用がかからないどころか、コスト削減になる」と理解してくれた。
初回の提案で、私は「移行にはリスクがあります」とだけ書いて、「どう管理するか」を示していなかった。
これでは、上司は不安になるだけだ。
再提案では、リスク管理の具体的な計画を示した。
リスク管理の計画を示すことで、上司の不安を解消できた。
提案資料は長ければ良いわけではない。むしろ1ページで完結させるべきだ。
上司は忙しい。10ページの資料を読む時間はない。1ページにまとめることで、短時間で判断材料を提供できる。
私が実際に承認を得た提案資料のフォーマットを紹介する。
【タイトル】
WSUS→Intune移行提案
【現状の課題】
【移行メリット】
【費用】
【リスク管理】
【スケジュール】
このフォーマットに沿って作成すれば、上司が判断に必要な情報がすべて揃う。
上司を説得する最強の武器は「数字」だ。
私の場合、WSUSの運用工数が月20時間かかっていたため、年間で240時間だった。これを人件費に換算すると、どれくらいのコストになるか計算した。
仮に時給3,000円(平均的なIT管理者の時給)で計算すると:
240時間 × 3,000円 = 720,000円
年間72万円のコストがかかっていることになる。Intune移行によって運用工数が月5時間(年間60時間)に削減できれば:
60時間 × 3,000円 = 180,000円
年間54万円のコスト削減になる。
さらに、WSUSサーバーのリプレース費用(約50万円)も不要になるため、トータルで年間104万円のコスト削減だ。
この数字を提案資料に入れることで、「移行する価値がある」ことを明確に示せた。
対処法:
「現時点では致命的な問題はありませんが、リモートワーク端末が増えており、30台が2ヶ月間更新されていない状況です。今後さらにリモートワークが増えると、この問題は拡大します。また、WSUSサーバーのハードウェアが老朽化しており、2年以内にリプレースが必要です。リプレースに50万円かかるよりも、クラウド移行した方が長期的にコストが低くなります」
対処法:
「テストグループで1ヶ月間検証し、問題がないことを確認してから本格移行します。また、移行期間中はWSUSとIntuneを並行運用するため、万が一Intuneで問題が発生してもWSUSに戻すことができます。業務システムのベンダーにも事前確認しており、互換性問題がないことを文書で確認済みです」
対処法:
「当社はMicrosoft 365 Business Premiumを契約しているため、Intuneのライセンスはすでに含まれています。追加費用は発生しません。移行作業も社内リソースで対応するため、外注費用もかかりません。むしろ、運用工数削減で年間54万円、サーバーリプレース回避で50万円、合計104万円のコスト削減になります」
対処法:
「私が責任を持って進めます。テストグループでの検証、並行運用期間の設定、業務システムベンダーへの事前確認など、リスクを最小化するための対策をすべて実施します。万が一問題が発生した場合も、WSUSに戻せる体制を維持します。また、移行の各フェーズで報告書を提出し、進捗と問題点を共有します」
提案のタイミングも重要だ。
私の場合、WSUSサーバーのWindows Server 2012 R2がサポート終了間近だったため、このタイミングで提案した。
例えば、以下のようなタイミングで提案すると、承認されやすい:
こうしたタイミングを狙うことで、提案が通りやすくなる。
提案資料を提出したら終わりではない。上司からの質問に迅速に対応し、追加情報を提供することが重要だ。
私の場合、提案後に上司から以下のような質問があった。
こうしたフォローアップを丁寧に行うことで、上司の信頼を得られた。
特に、検証期間中の週次報告書は効果的だった。「問題なく進んでいる」ことを定期的に報告することで、上司の不安を解消できた。
もし提案が却下されても、諦めてはいけない。
私も初回は却下されたが、2ヶ月後に再提案して承認を得た。
却下されたときは、以下の対処法が有効だ:
私の場合、初回却下後に「費用が心配」という理由を聞き出し、コスト削減効果を数字で示した資料を作り直した。また、WSUSサーバーのサポート終了が近づいたタイミングで再提案したことで、承認を得られた。
Intune移行の提案資料を作るとき、最も重要なのは「相手視点」だ。
自分が「移行したい」理由ではなく、上司が「承認したい」と思える理由を示す。
上司が知りたいのは、Why(なぜ今必要か)、Cost(費用はいくらか)、Risk(リスクはどう管理するか)の3つだ。この3つを明確に示すことで、承認を得やすくなる。
また、提案が却下されても諦めず、却下理由に対応して再提案することが重要だ。私も初回は失敗したが、2ヶ月後に再提案して承認を得た。
IT管理者としてのキャリアアップを考えているなら、こうした提案力も重要なスキルだ。レバテックキャリアでは、提案力を活かせる上流工程の求人も多数掲載されている。
この記事を書いた人:
IT業界で10年以上のキャリアを持つエンジニア。インフラ運用、開発、キャリア支援の経験をもとに、現場で本当に役立つ情報を発信中。