目次
はじめに:本の概要
ドイツのインダストリー4.0、アメリカのインダストリアルインターネットコンソーシアム(II)など、IoTの活用による製造業革新の動きが年々活発化しています。
こうした世の中の動きはなんとなく感じますが、具体的に製造現場にどうやってIoTを適用していくのか、何から取り組んでいけばいいのか分からないという組織は多いように感じます。
本書では、日本の「モノづくり」に対して、
- 儲けの構造の見える化
- プロセスの見える化
- 稼ぐポイントの見える化
- リアルタイムの見える化
4ステップで競争力をつけていけばよい、としています。
本書の中で特に気になったポイントをまとめていきます。
「見える化」進化の4段階
本書では、「見える化」が進化していくステップは4段階があるとしています。
- 見える化1.0=収益の見える化
組織・製品をきちんと仕分けし、収益を見える化する。原価・儲けの構造を解明する。
儲かっているもの/いないものをハッキリさせる。 - 見える化2.0=社内プロセスの見える化
モノづくりのプロセス全体を一気通貫して見える化して、ムダを省く - 見える化3.0=稼ぐポイントの見える化
モノ売りからコト売りへの変化。モノを売るだけでなく、サービスモデル/サブスクリプション化し、収益の構造を見直す。 - 見える化4.0=リアルタイムの見える化
IoTを活用することで、リアルタイムの見える化→ビッグデータ分析と予知→リアルタイムの制御自動化が実現する。
バリューチェーンの至るところで儲けられるのヒントが見えてくる。
IoT×AIがマッチするための条件
- 予想したいことが明確であること
故障予測制度をあげたい、故障パターンの精度をあげたい、など明確なテーマがあること - サンプル数(n数)が多いこと
予想した結果のサンプル数が多ければ、精度が向上していく - 複数要素が関連しており、関係性が複雑であること
人間が複合的に判断している検討事項など、単純な相関関係では分からない事象は効果が高い
製造業の競争力を考える
製造行には表の競争力と裏の競争力がある。裏は地味ではあるが、本質的。
例えば、
表の競争力
- 機能:製品の持つ機能・性能の優劣
- 価格:顧客にとってのコスト。
- 品質:製品の耐久性、故障/不具合発生頻度
- ブランド:メーカー、製品としてのブランド。機能・品質を伝える媒体
裏の競争力
- 新製品開発のための要素技術開発力
- サプライヤを巻き込んだ折衝能力
- 設計思想の統一と浸透の徹底
- 量産を見越しした設計ができる部門間調整能力
など。裏の競争力があるからこそ、表の競争力が実現できている。そしてその裏の競争力を高めるためにIoT × AIをうまく使いこなす。
本書を読んで。メーカーにおけるIoT × AI活用の行く末
IoT × AI活用の効果は、人間にとって価値のある情報をリアルタイムで具現化できること、ではないかと考えていました。しかし、それだけでなく、人間がうまくバランスをとっていた領域にとって変わる形でIoT × AI活用が進んでいく道がメーカーにおいては合致するのかもしれません。
例えば、製造ラインの優秀な班長のような生産調整能力をつかう領域こそが、
データ蓄積→パターン認識によってソフトウェアによる代替が進んでいきそうです。
Google子会社の自動運転技術を開発しているWaymoが掲げているのも「世界で最も経験豊富なドライバーを作る」というスローガンです。
機械そのものに付加価値をつけていく発送ではなく、人間が行っている機能を切り出し、その一部の精度を人間同等異以上に高めていく考え方が、
メーカーにおけるIoT × AI活用においても重要ではないかと考えます。
最後に私が参考にしている書籍を紹介しておきますね。
2019/03/22に新しいIoT関連書籍が発売しました。
ビジネス視点でIoTの市場比較があるのと、最新の事例がたくさん紹介されています。
こちらもおすすめです。